母が寿司を食べたいというので寿司屋に行く。
寿司割烹「はしもと」は、長門市では有名な店らしい。
仙崎漁港を抱え、海産物が豊富な長門市だが
寿司屋の数はそんなに多くない。
私自身、高校卒業までしか住んでいなかったこともあり
長門市の寿司屋にはあまり行ったことがない。
実家の最寄りの「掬寿司」(きくずし)か「いそべ」位。
余談だが、この「いそべ」はかつて
「ドライブイン191」という名前だったので
今でも「ドライブイン」と呼ぶ人が多い。
当時から寿司を出していたが、今では“高級店”として有名である。
さて「はしもと」だが、行く前から母が
「にぎり(寿司)と唐揚げがセットになったメニューがある」
とか言っていたのでやや不安に思っていた。
もっとも長門市は「人口あたりの焼き鳥店の数日本一」として
鶏による町おこしが盛んだからいいのだが、
寿司屋の看板メニューが唐揚げって、と思わなくもない。
“にぎり”には「極上」「特上」「上」の3種類。
経験上、こういう分け方をしている店では
最高級よりも2番目の方が良かったりするので尋ねてみる。
「極上」と「特上」は何が違うんですか?
「極上」はトロが入ってます。
……一瞬、「?」と思ったが、まあいい。「極上」を注文。
ややあって寿司が運ばれてきた。
さすがに、ネタはどれも一見して新鮮さが分かる感じ。切り身の角が凛としている。
「仙崎イカ」として売り出し中の剣先イカの甘さは申し分なし。サザエもコリコリで、かえって歯が悪い人には辛いくらい。鯛やハマチも美味しい。そして、なんといってもウニの香りが最高。
一度、北浦の生ウニを食べたら北海道産なんて食べられないッス。
もちろん、トロやイクラも美味しかったけど
これらは地元産ではないので、まあどこで食べても同じってことで。
だが、残念ながらというかやはりというか
すべてが寿司と言うよりは
“ご飯のついた刺身”を食べているようだった。
しゃりの存在感があまりにも薄いのだ。
この店には3つの「こだわり」があるらしいが
そのうち、味に直接関わるのは「水」と「塩」の2つ。
水は地下水にイオンチャージした「電子水」だそうな。
もともとこの辺りの水は、癖のないマイルドな水質なんだけど
ちょっと硬いというか冷たいイメージだったのはそのせいか?
塩はどんな塩かは秘密としながら
「砂糖の何十倍もする高級天然塩」と表示されている。
値段のことですか。しかも比較対象が砂糖って……。
問題は味じゃないかね。
もちろん高級天然塩だから良い味なんだろうけど、
どういう味にしたいからこういう塩を選ぶ、じゃないかしら?
しかも、酢に関しては何にもアナウンスがないってことは
普通の穀物酢とかなのかね。
結局、しゃりはほとんど存在感なし。
ネタの美味しさを損なわないという意味では、良い味かも知れないけど
だったら刺身を食べるよ。
とはいえ、こういうのが美味しいと思う客が多いってことだろうね。
やっぱり、この辺りには寿司文化がないってことかな?