鍋の季節にはちょっと早いですが、
ちょいとした鍋パーティを開くことになったので扁炉をつくる。
「扁炉」とは「河童のスケッチブック」(妹尾河童著・文藝春秋)に
紹介されている中国広西省の白菜料理。
本当はもっと寒くなって、白菜が美味しくなる頃が良いのだが
去年は一度も扁炉を食べなかったこともあり
我慢できずに作っちゃいましたとさ。
ちなみに、写真写りの悪さは気にしてはいけない。
食べてなんぼの料理である。
しかも今回は、河童さんのレシピにできるだけ忠実に作る。
実はこの鍋、数点の注意を守れば適当に作っても良いとされている。
そこで私はいつも、微妙にアレンジした作り方をしてきた。
でも、一度くらいは正しい作り方をと思い
今回、実験させていただいたというわけだ。
材料(5人分)はいたってシンプル。
白菜1株(5センチに切り、白い部分と緑の部分に分ける)
干し椎茸50グラム(水で戻す。戻し汁も使う)
豚バラ肉(薄切り)500グラム
鶏もも肉500グラム(手羽先でも可)
緑豆春雨1袋(煮ても溶けない。ビーフンで我慢しても良い)
胡麻油(精製していない香りの強いもの)
調味用の粗塩(うちでは岩塩を使っている)
一味唐辛子
作り方も簡単。
白菜の芯の部分と水、それに椎茸の戻し汁を鍋に入れ火にかける。
沸騰したら豚肉、鶏肉、椎茸をぶち込み胡麻油(大さじ4)を加える。
しばらく煮た後、時差をつけて白菜の緑の部分を投入する。
煮る時間は、およそ40分。白菜がクタクタになるまで煮る。
最後に水で戻して適当にカットした春雨を投入し、
食べる直前に胡麻油を「の」の字を書くように垂らして完成。
味付けはそれぞれの取り皿でする。
塩と一味唐辛子を入れた皿に鍋の中の汁を注いで好みの味をつくる。
つけダレになるのだから少し濃いめが良いらしい。
注意点はまず、白菜以外の野菜を入れないこと。
ネギやニンジン、春菊などは河童さんが失敗済みだそうだ。
もう一つは、汁を飲まないこと。
残った汁でつくる雑炊の美味さが格別なので我慢するわけだが、
こっそりと盗み飲みをする常連も多いのだとか。
さて、レシピ通りにつくってみての感想だが
鶏肉が多すぎるような気がした。
以前、豚肉だけでつくったこともあったが、
そっちの方がシンプルでより奥深い味わいだった気がする。
もっとも今回は、白菜がまだ十分に美味しくなっていない時期なので
なんともいえないが、鶏好きの私が言うのだから間違いないと思う。
それか、今ふと思いついたのだが
鶏肉の代わりに、鶏団子を入れてはどうだろうか?
あと、最近あちらこちらのブログなどでも紹介されているが
その中で「ピェンロー鍋」という表記が目立つ。
しかし、扁炉の“炉”には「鍋料理」という意味があり、
(“扁”は「ささやかな」とか「素朴な」という意味らしい)
ピェンロー鍋では「ささやかな鍋料理鍋」になってしまう。
これは「チゲ鍋」や「フラダンス」と同じパターンだ。
チゲにはすでに鍋の意が、フラにはダンスの意味が含まれている。
さらに余談になるが、
最近テレビでよく「サーキット場」という言葉を見かける。
サーキットとはレース場のことだから、
サーキット場とは「レース場“場”」ということになってしまう。
もっとも、サーキットには「(電気)回路」や「巡回」の意味もあり、
それらと区別して自動車競技のための場所に限定したいのだろう。
であれば、サーキットといわずレース場やレースコースと言えばいい。
中途半端なおせっかいは迷惑である。
話は戻るが、ネット上で紹介されているアレンジ案のうち
興味をそそられたのが、豚バラ肉を薄切りにせず
ブロックを買ってきて少し厚めにカットするというものだ
その方が、豚の旨みを楽しみやすいかもしれない。
そのほかには、
一味の代わりに七味を使う、ラー油を使う、昆布を入れる
といったものがあるけど、どれも試す気にはならない。
ただ、塩だけは何が合うのかいろいろ試したほうがいいかもね。
いずれにしても、この冬は扁炉率を高めよう。