西武ライオンズが4年ぶりの日本一に輝いた。
裏金問題などに揺れ、26年ぶりのBクラスに沈んだ去年。
黄金期を支えた古女房・伊東から監督を引き継いだナベQが、
まさか監督1年目でこんな結果を出すとは。
広岡、森と続いた黄金期とはスタイルは違うが
今の選手たちには、当時と同じ空気を感じる。
AKD砲という最終兵器を擁しながら
機動力と投手力のチームといわれ、広島並の扱いを受けたこともあった当時。
今は逆に、昨日の第7戦のように足で切り崩すことができるのに
ホームランばかりが取りざたされることもある。
しかし本質は、選手一人ひとりが
試合の流れと自分の能力とを考慮して
今、何をすべきなのかを能動的にとらえてプレーするのが
西武の伝統だということを、あらためて感じた。
昨日の第7戦、8回表の片岡などがそのいい例だ。
初球から盗塁することで、チームに流れを呼び込んだ。
もちろん、選手の思いをくみ取って
中島の初球にギャンブルスタートのサインを出したナベQもすごい。
第6戦の岸のリリーフ当番について、ナベQは
「自分の時代には当たり前の起用法だった」と
確信犯なのか天然なのか分からないコメントを残しつつ
一方で、2年目の岸に猛烈なプレッシャーをかけることで
今後の大投手への道筋を付けるという大胆な行動に出た。
目先の日本一よりも黄金時代の再建を選び、
見事に日本一への足がかりまで手に入れたというわけだ。
ナベQ自身、日本シリーズではそんなに大活躍はしていない。
もっとも、工藤や清原といったお祭り男が多かったので
目立ちにくい部分もあるのだが、けっこう打たれてもいる。
そういう意味では、第7戦の西口先発もナベQならではの采配か?
今回のシリーズでは、
ナベQよりもデーブ大久保の方が目立つことが多かった。
なにしろ、選手がホームランを打つ度に
ダッグアウトのフェンスに立ち上がった万歳をするのだから。
でも、そんなムードメーカーの打撃コーチをうまく生かしたのも
ナベQの手腕の一つなのかもしれない。
私の知る、現役時代のナベQからは少し遠いイメージだ。
それはきっと、台湾で学んだことが大きく影響しているのだろう。
常勝西武を支えた右腕は、名将の采配だけではなく
地獄の底をも見ているからこそ、1年目で日本一になり得た。
それにしても、デーブ大久保って大島美幸(森三中)にクリソツ。